専門学校と専門職大学の違いについて

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こんにちは。

本日は、専門学校と、専門職大学の違いを、お話しして見たいと思います。

50数年ぶりに学校教育法が改正され、専門職大学は短期大学以来の日本の新しい

教育制度になります。

専門職大学は、専門学校と異なり、大学制度の中に位置付けられ、教育課程や教員組織については、大学として必要なハードルが求められます。

一方で専門学校は大学としての制度に位置付けられるものではないので、

社会的なニーズに弾力的に柔軟に対応しつつ、実践的な教育を展開するものとなります。

専門学校から、専門職大学に移行する学校については以前記事にしていますので、

ご覧いただければと存じます。

専門職大学・専門職短期大学 申請者一覧(2017年度版)
こんにちは。職業教育のマシャです。 昨日(12/21)、文部科学省が平成31年度開設予定大学等認可申請一覧(平成29年12月)を公表されま...

なお、本で勉強したい!という人がいれば、現在の文化庁の事務局長の松坂さんが

出版されている、以下の本を一読すると、学校関係の法律も含め、だいぶ勉強になると思います。

では、早速見ていきましょう。

そもそも学校種が違う

端的に言うと、専門職大学は日本では学校、専門学校ではそうでない、そうなのです。

専門職大学は学校で専門学校は学校ではない?そんなことあるの?

なぜか??

ご説明しましょう。

法律論になってしまいますが、我が国に日本において学校教育法(日本に存在する学校の役割を明文化したもの)で言うと、

専門職大学は1条校

第一条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。※学校教育法より抜粋

専門学校は1条校ではない扱い(124条あたりにあります。)

ということになっています。

これによって、専門学校は長い間「学校」という枠組みではないという不当な扱いを

受けてきたとも言えます。

日本の多くの私立学校の財政の支えとなっている私学助成金についても、多大な交付を

大学や短大が受けてきた一歩上、専門学校はゼロ。

財政面でも、専門学校はかなり厳しい運営を強いられていることは想像に難くないでしょう。

「しょうもない大学に補助金を出しているくらいなら優秀な専門学校に補助金を」という人がいるのも頷けます。

日本私立学校振興・共済事業団は3月14日、私立の大学・短期大学・高等専門学校への補助金交付状況を発表した。平成28年度は877校に対して、前年度比約37億円増の3,211億6,333万7千円を交付。補助金の平均額は、私立大学では学生1人あたり15万6千円にのぼる。※https://resemom.jp/article/2017/03/15/37096.htmlより抜粋

私学助成については専門職大学に対しては当然されるでしょうから、

専門職大学になる専門学校がもしいるとすると、財政面的なところでは、

少し楽になるかもしれませんね。(もちろん、18歳人口の現象という市場環境の厳しさはありますが。)

法律の厳しさが違う(設置基準)

2つ目の違いは、専門学校と専門職大学では、その運営に必要な諸々の条件やルールが定められたもの(「設置基準」と言います)が全く違います。

専門学校では、専修学校設置基準というものが適用され、専門職大学では、専門職大学設置基準という設置基準が適用されます。

細かな違いはたくさんありますが、ポイントだけ言うと、

・校舎(+校地)に必要な面積

・教員になるためのハードル

この辺りが大きく違います。

専門職大学では、校地・校舎に関するルールが細かく定められているのに対し、

専門学校では、その辺りは比較的ルーズです。(最低限の校舎面積基準はある)

特に専門職大学では「一人当たり10平米の校地面積を確保すること」が設置基準で謳われており、

1000名規模の専門職大学になると、1万平米の校地面積が必要となります。

専門学校の1校あたりの平均の校地面積は、4553平米(2012年調査)だと言うことですから、かなり高いハードルであることはまちがいないでしょう。

さらに、教員の資格についても、専門職大学は大学設置基準並みに規定されているため、

専門学校の設置基準での教員資格は比較的緩いのですが、

「専門学校では先生が出来るけど、専門職大学では先生(教授)はできない」という式が成り立ってしまうのです。

興味がある方は、専修学校設置基準専門職大学設置基準を比較してみると良いのではないでしょうか。

またその厳しさが故、2019年度開学の審査は大変厳しい結果となりました。

参考記事:

専門職大学の申請取り下げが相次いでいます。
こんにちは。 専門職大学の設置認可申請ですが、大荒れの模様です。 個人的な一番のサプライズは、東京専門職大学の認可申請の取り下げ。 こ...

教育課程が違う

専門職大学と専門学校ですが、教育課程にも違いがあります。

教育課程(カリキュラム)については、全体の3分の1、具体的には40単位分が

臨地実務実習という実習でなければなりません。

これは、企業や業界などと連携して、専門職業人を育成するためのインターンシップと言ってしまった方がわかりやすいかもしれません。

専門学校でもインターンシップや学外実習ということで、実際の実務を学ぶ授業が

展開されていますが、専門職大学では、さらに高度な臨地実務実習ということで、

教育課程(カリキュラム)を編成する必要があります。

なお、その関係で教育課程連携協議会という会議を編成することも法律での条件になっており、

これは職業実践専門課程の教育課程編成委員会に通ずるものがあります。

職業実践専門課程については、別途まとめていますので、ご参考ください。

職業実践専門課程とは一体何だったのか。
今日は専修学校における職業実践専門課程について話をして見たいと思います。 まず、専門職大学については、東京専門職大学を中心に、 専修学校...

卒業後の学位が違う

卒業後の「学位」についても全然違います。

専門職大学では学士ということでいわゆる「学位」がもらえます。専門学校では「称号」ですね。

具体的には4年制大学を卒業すると「学士」がもらえますが、4年制の専門学校を卒業すると「高度専門士」、2年制の専門学校だと「専門士」がもらえます。

進路を決める高校生のみなさんやその保護者のみなさんにとっては、気になるところでしょう。

これまで「大学くらいは出ておきなさい」ということで、

専門学校への進路を諦めていた人がいるとするなら(保護者はそういう人はいるのではないいでしょうか?)ば、

この専門職大学は、とても良い制度になるかもしれませんね。

これまでの専門学校での実践的な教育+学位がもらえるのですから。

専門職大学、今後の知名度・認知度が課題

少し古い2016年度のアンケートになりますが、進路のイベントなどを開催している「さんぽう」が実施したアンケートによると

●専門職業大学について「内容を知っている」は25%と低調。

※「高校教員に聞く「専門職業大学(仮称)」創設への期待と懸念」より

とのこと。

この辺りの知名度・認知度が高校をはじめとする教育の現場に浸透していかなければ、

募集上の効果も出てこなさそうですね。

以上。いかがでしたでしょうか?

法科大学院の失敗のようにならないように、願いたいところですね。

言うても今回は学校教育法を改正してまでの、新たな教育制度なので、

国策としての期待も込めて、今後の専門職大学の動きに注目ですね!

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コメント

  1. 舟橋 研司 より:

    内容を見聞した範疇で言わせてもらえば、大学とつけるのはおかしい。4年制大学の前半の
    2年のうちに体育や外国語(第一及び第二外国語)が必修ですが、これが抜けていてら、
    従来の大学は良いとしても、新設の専門職大学は高等職業専門学院ともいうべき名称が適していると思われますが、如何でしょうか?
    いくら職業分野での専門化したからと言っても、内容は大学ではない!設置基準を専門学校より一層厳しくしたところで、所詮 高等職業専門学院だろう。設置申請者は殆どが
    専門学校設立者ではないですか? 既存の大学と違うものは、違う名称を付けるのが当然のことだと思います。

    • rick9 より:

      コメント誠にありがとうございました。文科省の審査の結果が出まして認可は本日時点で1校だけという結果。教員や施設設備が不十分という答申が出ていますから、2020年度開学の専門職大学の設置申請者のリストも気になりますが、今後の動向に注目しましょう。個人的には、専門職大学に語学がないからといって、大学とは認められないということにはならないと思います。(今回の高知の専門職大学も、おそらく語学が充実しているカリキュラムにはなっていないのではと思っています。)